Diversity & Inclusion Blog

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ダイバーシティの推進を願い、より多くの意義ある活動や世界の情報を、より多くの人に届けるため発信していきます。
GEWELのメンバーや志を同じにする人たちから、日本や世界のダイバーシティ&インクルージョン情報をお届けします。
―真のダイバーシティーの意義と進め方へのヒント―

ダイバーシティー推進シンポジウム「明日への処方箋」レポート
田村 真由美

昨年秋にGEWELの正会員になりました田村です。20年以上複数の外資系企業で勤務してきました。直近に勤務した会社では、アメリカ本社がダイバーシティーを戦略上の重要項目の1つとして進めていたので、子会社である日本でも取り組んできました。そんな経験を踏まえて、日本の社会でダイバーシティーがもっと推進されることを願い活動していきたいと思います。

このシンポジウムの副題が「男も変わる 働き方を変える」ということもあったのでしょうか、私が参加した今までのダイバーシティシンポジウムに比べると男性の参加者が多かったように思います。年齢層も多岐にわたり、ダイバーシティーへの関心が多様な層に浸透しつつある証拠だと思いました。

基調講演に「最大の成長戦略、ダイバーシティー」と称して、野田聖子衆議院議員が登壇されました。民主党が政権を取った3年余りの間自民党は野党として活動の場が限られて時間ができたので、野田氏はこの時しかチャンスはないということで子供を産む決断をしたそうです。これこそが問題の本質で、日本では女性が仕事をしながら出産・子育てをするには時間が壁となるからです。日本の経済の発展のためには人口増による消費増を達成して行くことが重要で、女性が仕事をしながら子育てしていける環境を作ることこそが大切だと強調されていました。ダイバーシティーとは単に平等という人権の問題ではなく、日本の将来をどう紡いでいくかという次元の話であるという言葉が印象的でした。

特別講演は「ビジネス戦略としてのダイバーシティー〜推進する三つの柱〜」という題で、イギリスに本社を置く製薬会社のアストラゼネカ株式会社執行役員マーケティング本部長の野上麻里氏が登壇されました。三つの柱とは仝楜劼肇僉璽肇福爾防床舛気譴覺覿箸箸覆覘▲ぅ離戞璽轡腑鵑魑こす成果にフォーカスしたハイパフォーマンスを達成する、です。

医師・薬剤師には女性も多く、また人口減でも高齢者増により女性患者による薬の需要も増えているという事実から、女性の視点・立場で女性患者にアプローチすることによって、ある薬の売上を大幅に伸ばすことができたということです。このように別な視点で見ることによって、既成観念にとらわれない今までにないイノベーションを生み出すことができるのでしょう。

またユニークな制度としては、産休や育休による人員欠員のために代替人員を手配するシステムを作ったというものです。急病や交通事故による病欠とは違って産休・育休は予めスケジュールがたてられるので、このシステムによって上司も安心して部下に休暇を取ってもらえるということです。私自身、自分のチームで産休・育休を取る人が出た時に、どのように限られたリソースで仕事を回していくかで苦労したことがあります。このようなシステムはとても有効だと思います。

最後に、若い女性社員の“管理職は大変だからなりたくない”という思いを払拭すべく、 “将来管理職になりたい”と思われるよう野上氏自身が楽しく働く姿をみせられるよう努めているという話がありました。やはり見習いたいと思えるロールモデルがいるということは次に続く女性たちにとって重要なことではないでしょうか。

最後は、カルビー会長兼CEOの松本氏,イーウーマン社長の佐々木氏、三重県知事の鈴木氏、詩人・社会学者の水無田氏の4名によるパネルディスカッションでした。松本氏の“ダイバーシティーは成長のエンジンであり、コストでなくインベストメントである、だから継続的にインベストできるよう覚悟の上で進める”という経営者としての決意が感じられました。

鈴木氏は自ら育休をとった全国で2番目の知事です。以前はダイバーシティーには全く興味がなかったものの、結婚してから奥様の活躍する姿を通じて女性がずっと輝く姿を願うようになり、ダイバーシティーを推進するようになったということで、価値観が変わったということです。トップ自らダイバーシティーをコミットして実践することにより、その組織が変わっていく姿を感じ取ることができました。

その他にも女性がやりがいを持って仕事をすると出生率があがること、長時間労働がネックとなっている(親の介護問題では男性も長時間労働が難しくなる)ので会社は成果を求めるべきで、時間や勤務形態を求めるべきではない、単位時間当たりの生産性を評価すべき、制度改革とともに意識改革をしていくべきなど、色々とキーメッセージがありました。

このような考え方・アクションがいかに各企業・自治体その他組織に広がっていくかが本当に大事だと思いました。トップがコミットし、その組織に属するメンバーがそれに応えていきいきと仕事ができるような社会が望まれるのではないでしょうか。最後に、水無田氏の“属性よりも個性が重視される社会が大事”というコメントが心に残りました。

| Maki | D&Iイベント報告 | 13:48 | comments(0) | - |
NPO法人GEWEL
1 Malaysia ~マレーシア便り

高井 瑞穂 マレーシア在住


街を歩いていると、英語、マレー語、中国語、タミル語、アラビア語、タイ語、韓国語などなど様々な言語が飛び交い、一瞬どこの国に居るのか分からなくなるほど多様な民族が行き交う。

ここは人口約3000万人(2014年時点)のマレーシア。日本の国土の9割ほどの面積に、マレー系・中国系・インド系、そして多数の部族に分けられる先住民族が共存している。この多民族に加えて、約300万人が近隣諸国(タイ、インドネシア、フィリピン、ベトナム、カンボジア、ミャンマーなど)からの移民労働者。さらに、約2500万人の観光客が世界中から毎年この国を訪れる。日本における外国人訪問者数が最近やっと1000万人を越えたのを考えると、その2.5倍近くの外国人がこの国を訪れるのは、亜熱帯地方のリゾート気候も魅力的だが、政治的・経済的に安定し、生活物価が比較的安価であり、英語が広く通用し、多様な文化に触れることができるのも大きな魅力だ。また、国教はイスラム教だが、信仰の自由が認められているため仏教、ヒンズー教、キリスト教、道教などを信仰する国民も多く、イスラムと西洋・東洋のハブ的な存在になっているのも、外国人を惹き付ける理由の一つだろう。

日本における海外ロングステイ希望国調査(ロングステイ財団調査)でも、マレーシアがハワイやオーストラリアを抑え、2006年から8年間連続で、ステイ先人気No 1となっている。


実際この国に暮らしてみて(個人的な見解だが)、温厚な国民性と言われるように良い意味でゆったりとし親切な人が多い反面、悪い意味で非効率、どちらかと言うといい加減・怠慢と思われる人も少なくない印象だ。特に大手企業、公的機関でそういった人に遭遇する頻度が多くなる。顧客よりもスマホに熱中する店の販売員、同じくスマホに気をとられ上陸客を待たせる移民局員、荷物検査のX線画面の前で居眠りをする検査員、従業員同士の会話に夢中になり顧客を無視するレストラン職員。期日に配達しないだけでなく問い合わせにも対応できない宅配業者。ウィンカーを出さずに車線変更・右折・左折する車は、日常茶飯事が、車線を無視して走る車や、二重駐車なども頻繁に遭遇する。基本的に車社会のマレーシアで、予測のつかない他のドライバーの行動を気にしながら運転するのは結構勇気がいる。

マハティール前首相が、党大会において「感じるのは失望ばかりだ」とマレー系国民の怠惰を嘆いたと言われるが、未だに課題が残っているようだ。


ここでマレーシアが独立後導入した「ブミプトラ政策」と称されるマレー人優遇政策に触れておきたい。本政策はマレーシア憲法で明文化されたマレーシアの国の在り方そのものであり、マレー系と非マレー系国民間の経済格差を解消し、マレー人社会の底上げをすることで国全体の経済発展を図ることを意図した。

人口の割合は年々変わるが、マレー系が6割前後、非マレー系(中国系およびインド系)は3割程度と、非マレー系の方がマイノリティーである。そのマイノリティーの中でも特にEconomic driverと称される中国系マレーシア人が同国の経済を支配し、民族間の経済格差が拡大、仕事の固定化が進んだため、本政策の導入に至った。

政策の主な内容として、教育(大学入試の際、マレー系受験者の難易度を低く設定)、就職(マレー人の優先雇用、特に公務員・政府系基幹産業への優先雇用)、住居(分譲物件などマレー人に対してのみ一定額安く販売、またマレー人用割当枠を必ず設定)、銀行融資(マレー人に対し優先的に好条件で融資)、会社経営(会社設立の際マレー人の株主必須、また役員および社員の一定数はマレー人を雇用)などがある。
結果として、より多くのマレー人が高等教育を受け、商工業に就業するマレー人口が増え、富の分配を与り、国の経済成長率は70年代〜80年代が6.7%、90年代は7.1%と高い成長率を達成したので、一定の効果はあったようだ。

弊害としては、非マレー系住民の不公平感の鬱積、優秀な人材の国外流出、マレー人の優遇政策に対する甘えが常習化し真の自律が醸成されない、汚職の温床、政府機関と企業の癒着などがある。経済力格差解消の道のりも遠く、悪例の一つとして、マレー人の名義を借り、より優位な条件で会社運営をしながらビジネス拡大を図る非マレー人と、名義貸し料に満足してしまうマレー人という関係が多々存在するようだ。
マハティール前首相もこういった実情を嘆き、政策による量的な改善ではなく、マレー人の質的改善に腐心していたと推測する。


2009年に政権を受け継いだナジブ首相は、このブミプトラ政策を緩和し、「ひとつのマレーシア」として、これまで以上に国民が多様性を尊重し融和を図ろうと、掲げたのが「1 Malaysia」というスローガン。
ブミプトラ政策の見直し、経済の自由化に向けた内容が非マレー系に歓迎され、支持率も回復したが、2013年に一転して優遇政策の強化へ方向転換した。背景には優遇政策による既得権益者からの圧力があると言われるが、支持基盤強化のために本スローガンが後退してしまうのは残念だ。
2020年には先進国入りするという目標をかかげているマレーシアだが、是非ともDiversity先進国として、1 Malaysiaの実現に向けて邁進して欲しい。
| Maki | 最新D&I情報 | 12:02 | comments(0) | - |
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