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江戸ノベルスに学ぶカッコいい女性たち

江戸ノベルスに学ぶカッコいい女性たち
―山本一力著 “梅咲きぬ”の主人公の女性はリーダーとして育てられた―
藤井 幸子

気分転換に、時代小説を手にしたところ、深川の老舗料亭の女将となるべく育てられた、当時のカッコいい女性リーダーの育て方の話で、一気に読んでしまいました。

深川の老舗料亭の女将秀弥、母親(旦那が早く亡くなったため。シングルマザー)が、娘玉枝を子供の時から、本物を見せ、その背景に何があるか?女将になるべく毅然としたあり方、人への接し方、本物を見る力などを教えます。
玉枝は子供が興味を持つことに一つ一つ丁寧に答えてくれる周りの大人たちから世の中のことを学びます。子供の時からしつけられた少女が、15歳で母親を亡くし、女将になって、立派に跡を継ぐ話です。

6歳の6月6日からお稽古始として、踊りを習いに行きます。このお師匠さんは弟子に対して、弟子としての仕事(三味線の組み立て、お稽古場のお掃除、他のお弟子さんたちの世話など)をさせます。お稽古に行き始めたころ、「楽なことを覚えたらあきまへん。あんたが七つでしっかり覚えられたら、あとは一生もんや。その歳で楽な方を覚えたら、後になって苦労するのはあんたですえ」と仕込みます。それを母親に訴えると「泣き言は一切、聞きません。これくらいのことで音を上げるようなら、お前に店は継がせない」といわれ、彼女はこの時に、覚悟を決めるのです。勿論この母親が、玉枝のロールモデルで、母親のようになりたいと憧れて育つのですが。

ひとつ、本物かどうかを判断できる話として。
たまたま女将の秀弥が不在の時に、料亭にいちゃもんをつけて、金をだましとうとする人たちが来ます。彼女はそのお客が入ってきたときに、直感的に違和感を感じます。経験のある仲居頭や下足番のおじさんは、その身なりや、一見さんお断りの店でありながら、誰それの紹介でという話に騙され、予約なしに来た、その男たちを座敷にあげてしまいます。初回に下見に来た男たちはそれなりに、一流のお客らしく振舞います。この男たちは大きな宴会をするといって、予約を入れます。

違和感をよく考えると、彼女はある男の、爪が汚かったことだと気づきます。男たちの話が本当だとすれば、爪にあかがたまっているのはおかしいと。でも仲居頭や下足番の顔をつぶさないように、彼らの上司である女将にも相談できないと考え、外部の人である踊りのお師匠さんの旦那に相談します。調べてみると予約をいれた時に言い置いた、この男たちの店は、実際にはありませんでした。

宴会当日までに、何が起きるか?母親である女将を始め、料亭の人たちはいろいろ想定します。きっと、料理にゴキブリが入っているといって、いちゃもんをつけ、脅しをかけ金をとろうということだろうという想定の元、いろいろなシミレーションをします。たいそうな金をかけて、板場をゴキブリの来ない池の上に新たに建てるという、とんでもないアイデアも玉枝が思いつきます。こういう時にも、秀弥は、女将修行として、大人たちの中に一人前の人として、玉枝を参加させ、考えを言わせ、その考えを尊重します。

そして、このとんでもない考えを実行に移すことになり、準備は着々と進みます。ここでも深川の人たちが突貫工事でありながら、目的を果たしてくれます。この料亭の女将は代々深川八幡宮の氏子総代になることが決まっており、地域コミュニティのリーダーの一人です。人脈を持ち、日ごろから、いろいろな人に気配りをしていますし、誰に助けを求めればいいかも知っています。一人でしょい込まず、困った時に助けを求める器量も持っています。
案の定、宴会当日ゴキブリを持ち込んだ男たちが、料理にゴキブリが入っているとクレームをつけたところ、板場を見て、ぎゃふんとなるわけです。

女将が娘をInclusionして、娘の持つ能力を引き出すという点では、料亭で出すお茶請けのお菓子を年の初めに決めます。板長、仲居頭などシニアマネージメントの中に、玉枝を参加させ、それぞれが勧めるものを持ち寄って、なぜ選んだか?お菓子の背景にあるストーリー、お客様へのメッセージなどを説明しつつ、選択する場です。ここでも玉枝の選んだお菓子を大人たちが納得して、選びます。ちゃんとIncludeし、ただそこに座っているという役割ではなく、本気で参加させ、一人の大人として扱います。

今年の相手の立場を考えさせるという例では、深川が、秋の長雨で水害にあった時、住人達はここでもお互い様という気持ちで、食べ物を融通し合ったり、あるもので助け合います。秀弥の料亭から炊き出しをしますが、受け取る相手に余計な気を使わせないように、米に麦を混ぜ長屋の人たちが普通に食べているようなおにぎりを作り、料亭で使っているような豪華のものを使わずに、盤台も普通のもの、運ぶ人も料亭の半纏を着ないように指図します。

最もカッコいいのは、秀弥は氏子総代なので、お祭りの時の手当て(寄進に始まり、祭り衣装のあつらえなど、深川八幡宮にふさわしいもの)をし、女神輿を担ぐのです。そして、祭りのマネージメントも本物を見て、学んでいきます。

彼女は、母親の背中を見て、こんな大人になりたいと思いながら育ちます。当時の深川の人たちの“お互い様”という意識も、この主人公は様々な事件を通して、学び、ロールモデルの母親を見ながら覚悟を決め、しかし決しておごらず、必要な時は毅然とした態度で、望む。自分のことだけを考えず、自分たちを支えてくれている人たちに役に立とうとする、なんてカッコいい女性たちなんだろうと思いました。

料亭の女将という仕事は、様々なことをマネージしなければなりません。そんな立場になるために、どう人を育てるか?いまでも参考になる小説だと思いました。
日頃、仕事に関する本に集中しがちな方には、気分を変えて、江戸のベルスもお勧めの小説です。



| Maki | おすすめの本 | 08:26 | comments(1) | - |
NPO法人GEWEL
ご無沙汰しております。
長谷川 由紀です。

今回の話が心に響いたので、コメントを書かせていただきました。
本物を見る必要性は、本当に日々感じます。
偽物はどう頑張っても偽物なので、本物でありたいと思います。
かっこいい女性を目指すべく、いい経験を積んでいきたいものです。
| Yuki Hasegawa | 2013/02/15 4:44 PM |









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