Diversity & Inclusion Blog

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ダイバーシティの推進を願い、より多くの意義ある活動や世界の情報を、より多くの人に届けるため発信していきます。
GEWELのメンバーや志を同じにする人たちから、日本や世界のダイバーシティ&インクルージョン情報をお届けします。
GEWELインタビュー「D&Iの先駆者たち」No.2

GOLDシンポジウム:インクルージョン・パワー
―新たな視点をダイバーシティに活かそう
9月19日(金)東京アメリカンクラブにて開催します!申し込みはこちら

 GOLD 建部博子さん

Q: GOLDシンポジウムは毎回、D&Iにおける一歩先のテーマを掲げていると思います。GOLDシンポジウムの目的はどんなところにあるのでしょうか。

建部:一番の目的は、様々な視点からD&Iを紹介し、スピーカーや参加者同士の考えを共有することによって、新たな気づきの機会を提供することです。

日本の方から、D&Iはアメリカの方が進んでいるということをよく耳にします。D&Iは、常に進化を続けていくプロセスであり終わりのない旅です。ですから、アメリカでもまだまだチャレンジが多く、「Diversity Fatigue」(ダイバーシティからの疲労)という造語もあるくらいです。日本とアメリカで共通するチャレンジや実践するうえでの具体例をシェアすることでお互いから学ぶということも目的のヒトツです。

今回のシンポジウムの主旨は、ダイバーシティを経営成果に繋げる鍵となる「インクルージョン・パワー」に焦点を当て、実績のある幅広い分野からの日米女性・男性リーダーからダイバーシティを推進するうえで必須となる21世紀型リーダーのあり方について学ぶことです。

「男性の視点で紐解くリーダーシップ、共同参画、パートナーシップ」のセッションには、安保理決議1325(女性と平和・安全を関連づけた初の安保理決議)の採択に主導的な役割を果たしたチャウドリー元国連安保理議長、「第4の波への進化:21世紀に求めらる企業のダイバーシティ&インクルージョン」のセッションでは、ダイバーシティ第一人者の岩田ケイ氏、午後の基調講演は、ハリウッドで最も著名な日本人ディレクター・プロデューサーの奈良橋陽子氏にご登壇頂きます。新しい視点からダイバーシティを活かせる内容のプログラムを企画しましたので、女性だけでなく、是非多くの男性にも参加してほしいと思います。

Q: 日米を比較して、日本から学べること、アメリカから学べることはどんなところでしょうか?

建部:日本は制度づくりがうまいと思います。企業のダイバーシティ・レポートやウェブサイトを見るとプログラムや支援対策などアメリカとほどんど変わらないように見受けます。ところが、実態を聞くと、制度はあるけれど十分に活用されていないケースがほとんどです。制度作りも重要ですが、ダイバーシティマネジメントのプロセスの第一歩、意識変革を浸透させることが重要だと思います。

アメリカから学ぶことは、ダイバーシティをビジネス戦略として位置づけていることです。アメリカでは、マイノリティが占める人口の割合が急増していることもあり、市場ニーズが多様化されています。ですから、ダイバーシティを経営戦略として捉え、経済効果に繋げていかなければ、ビジネスとして生き残れないのが現状です。日本と比べて、ダイバーシティ・マネジメントの歴史が長いこともあって、トップを含めての企業風土改革は、アメリカのほうが進んでいます。マネージャーのレベルに対しても、自己認識力を高め、多様性に対する意識変革をもたらすために「無意識のバイアス」や「異文化受容」等の研修が行われています。

Q: 日本では、「ダイバーシティ」イコール「女性の活躍推進」になっていることがあります。

建部:SHRM(Society of Human Resources Management)の調査結果によると、経営者の79%がグローバルD&Iで最も重要とされる人材プールは女性と答えています。ですから、女性活躍推進は、日本だけでなくグローバルの課題です。但し、ジェンダーはあくまでもダイバーシティのヒトツの切り口であることを認識してほしいと思います。女性同士でも世代、子供の有無、職業経験、その人が置かれた社会環境などで考え方は個人個人違います。又、ダイバーシティ・マネージメントの先駆者であるトーマス・ルーズベルトが「ダイバーシティは、違いと類似性から成り立っている」といっているように、違いだけではなく、どこが類似性なのかを考えることも大切だと思います。

私は、企業におけるダイバーシティは、多様な人材の能力を活かし、企業価値向上へつなげるビジネス戦略だと考えています。多様性がイノベーションを生むと言われていますが、これは少し飛躍があるのではないかと思います。数合わせで50:50とういうだけでは、イノベーションの段階までの効果は期待できません。イノベーションをもたらすには、自由な意見が言えるようなインクルーシブな風土づくりが必要ですし、多様な人材をまとめていくには、D&Iリーダーシップと高いコミュニケーション能力が求められます。

Q: すでにD&Iがかなり浸透しているグローバル企業でも、あらためてD&I、特にInclusionに力を入れ始めているようです。

建部:ダイバーシティは、時代とともに進化して、新しい形が生まれてきています。
例えば今、アメリカでは世代間やLGBTがD&Iの焦点となってきています。そして、さまざまなところに存在する無意識のバイアスは、大きな課題として取り上げられています。急速に変化する社会構成、目まぐるしく変革するテクノロジー等、これさえやっていればOKとか、うちの会社はD&Iは上手くいっているから現状維持ということでは、グローバル競争で生き残るのは難しいでしょう。これからの企業に求められる鍵は、ダイバーシテを活かすインクルージョンということだと思います。

Q: 最後に、日本におけるD&Iの課題と展望をお聞かせください。

建部:先ほどお話したように、日本は制度づくりはうまいですが、意識が追い付いていないと思います。女性活躍推進においては、男性だけでなく女性自身も意識改革が求められています。社会や会社のカルチャーにつぶされる前に、自分ができることをポジティブに考えて、パッションをもって挑戦してほしいと思います。

アクセンチュアが日本を含む世界32か国のビジネスパーソン4,100名に対して2013年11月に実施した「世界におけるダイバーシティに関する意識調査」によると「日本は世界で最もダイバーシティに関する意識が低い」というショッキングな結果がでています。

多様性を前提にしたスキルと評価の質問で、「2020年おいて最も重要なスキルや資質とはどのようなものであるか?」では、「多国籍な人材と協働できる能力」と答えた割合が、日本は23%と対象国中で最低。他の国の人々とうまく協調してやっていくこと、これを日本のビジネスパーソンたちは重要視していないということが示されています。また、「2020年までに女性取締役メンバーの比率は増えると思うか」との問いに「増える」との回答は日本ではわずか35%で、これに関しても世界で最も低い結果となっています(アメリカ82%、韓国70%)。いくら女性活躍推進をサポートしているといっても、本音を言えば、無理だと思っているひとがマジョリティーということです。

日本では、このような考え方を変えるための意識改革が必要です。制度作りや数値目標を決めることは、ダイバーシティ推進の手段(What)であり、目的(Why)でないことを理解し、組織カルチャーを変革することに力を入れてほしいと思います。

安倍首相が提唱する「Womenomics」は、女性活躍推進には絶好のチャンスです。この機会を活かして、日本のダイバーシティをジェンダーだけでなく、もっと大胆に進めていってほしいと思います。

インタビューの感想:アキレス美知子
私はD&Iとは個人に始まって個人に終わると考えています。人と人とのつながりを大事にして、日米の懸け橋になってきた建部さんのお話に大いに共感しました。D&Iの実現には、一人ひとりが自分の頭で考えて、多様なアイデアを実現できる環境が必要です。「違い」を疎ましく思うのではなく、「異分子」人財がもっと活躍するためにも、Thought Leaderである建部さんに引き続きお力添えをいただきたいと思います。
9月19日のGOLDシンポジウム、楽しみにしております!

資料:「全世界のビジネスパーソンのダイバーシティに関する意識調査」
http://www.careers.accenture.com/Microsites/moving-forward-japan/Documents/pdf/iwd-2014-global-research.pdf

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GOLDシンポジウム:インクルージョン・パワー
―新たな視点をダイバーシティに活かそう
今回のシンポジウムでは、「インクルージョン・パワー」に焦点を当て、21世紀型リーダー育成のため、実績のある日米リーダーの経験や考え方に触れ、皆さんが抱えている課題を共有し、日米間のネットワークを構築する機会を提供します。
日 時:2014年9月19日(金)
場 所:東京アメリカンクラブ

早期申込(8月15日までに登録) ¥15,000
通常申込(8月16日以降に登録) ¥20,000
GEWEL賛助会員は、¥15,000!(members@gewel.orgまでどうぞ)

詳細はGOLD HPまで、お問い合わせは
日本語 
http://goldleaders.org/gold_uevents_2014_symp_jap_about.htm
英語 http://goldleaders.org/gold_uevents_2014_symp_about.htm
| Maki | D&I 人物インタビュー | 13:12 | comments(0) | - |
NPO法人GEWEL
GEWELインタビュー 「D&Iの先駆者たち」No.1 

 GOLD代表 建部博子さん
インタビュアー:アキレス美知子

Q: 今日はよろしくお願いいたします。まず、建部さんのこれまでのご経験から、強く印象に残ったD&I体験をうかがえますか。

建部:私が単身で渡米したのは、高校を卒業してすぐ、18歳のときでした。アメリカへ来るまで、自分が日本人ということを意識したことはありませんでした。その頃は英語がまだ上手に話せなかったこともあり、大学ではお友達や彼らのご家族にとてもお世話になりました。留学生も含めて、様々なバックグランドを持った方たちで、文化や価値感が違うことに気づき、はじめて自分は、日本人であることを実感しました。そして、自身のものさしでなく、相手がどのように自分を見ているかを考えることが大切なのだということを痛感しました。これがD&Iの最初の出会いで、今でも印象強く心に残っています。

Q:その体験は、以後の考え方にどのような影響を及ぼしたのでしょうか。

建部:D&Iは、最終的には、人と人とのつながりです。個人、個人で違いはありますが、大切なのはお互いが理解し、違いから学び、それを上手くインテグレートしていくことだと思います。異文化の人達と色々な経験をすることによって、心で通じ合える関係を構築していくことがD&Iへの理解につながるのではないでしょうか?
そして、私がここまでやって来れたのは、これまで築いてきた多様な人脈とネットワークのお陰です。私のメンターやスポンサーは、女性だけでなく男性、様々な人種、カルチャー、知識を持った方々です。GOLDは、彼らの持つそれぞれの強みでサポートして頂きながら活動を続けています。

Q:人と人とのつながりを大事にされてきたのですね。でも、人と関わる中で時には落ち込むこともあったのではないでしょうか。

建部:最初のころは、人とのつながりよりも「知識はパワー」ということで仕事に打ち込みました。女性、そして外国人というダブルマイノリティーのチャレンジもあって、人と関わる中で落ち込むことも度々ありました。でも、NPO団体等のイベントに積極的に参加したり、社外での活動を通じて多くのメンターと出会うことができ、人脈構築がいかに大切かということに気づきました。そして、彼らから、ネットワーキングは、信頼できる相互関係を築き維持することで、GIVE&TAKEの関係ということを学びました。

本音をいうと、私はネットワーキングが苦手です。しかし、相手のニーズを把握して、必要に応じて人と人をつなげることは得意です。そして、その繋がりから輪を広げていくというのが私のスタイルです。自分が必要なときだけという一方的な関係でネットワークをなさる方もいますが、Takeだけでは、いざというときにお互いにサポートすることは難しいと思います。

Q:その後、GOLDの設立にいたった経緯をお聞かせください。

建部:長年勤めた銀行を2001年に思い切って辞めたのは、50歳になったら新しいことをしたいと決めていたからです。ちょうど銀行が合併する時期と重なったこともあり、これがいいタイミングだと思い退職しました。その直後、9月11日に、同時多発テロが起きました。この事件によって色々と考えさせられ、残り20年30年の人生で、何かパッションを持ってやっていきたいと強く再認識しました。日本とアメリカの両方が自分の人生の大きな部分を占めていることもあり、両国の架け橋になり、今まで築いたキャリアを活かして、日本の女性たちの役に立てればと思い、頑張る女性を応援することに決めました。

「日米の架け橋」ということなので、まずは日本での基盤をつくる事が先決でした。同じ頃に、GEWEL創設者の堀井さん、小西さんと出会う機会に恵まれました。それが契機となり、2003年にGEWEL創立メンバーとして参画することになりました。そして自分の今までの人脈を活かしながら、女性の価値観を認め、活躍の場を広げたいという思いで2006年にGOLD(Global Organization for Leadership and Diversity)をロサンゼルスで立ち上げました。
(No.2につづく)

※9月19日(金)GOLDシンポジウム「インクルージョン・パワー」開催
 テーマ:新たな視点をダイバーシティに活かそう
 早期割引は8月15日まで
 詳細はこちらへ

http://www.goldleaders.org/gold_uevents_2014_symp_jap_about.htm
| Maki | D&I 人物インタビュー | 20:50 | comments(0) | - |
NPO法人GEWEL
Top Interview (7) インテージ 最終回 大切にしていること

インテージの社風は歴史のなかで作られる


(株)インテージ 代表取締役会長 田下憲雄氏
1947年生まれ。岐阜県出身。一橋大学社会学部卒業後、1972年 (株)社会調査研究所 (現インテージ)入社。
2000年に代表取締役社長。2011年4月代表取締役会長に就任。
一般社団法人日本マーケティング・リサーチ協会会長。
アジア・パシフィック・リサーチコミッティ会長。

Q:最後に、御社で大切にしておられることをお聞かせ下さい。

田下:私は社員の一人ひとりの立ち居振る舞いに、その企業の社風がにじみ出ていると考えています。社風が作られるには大変な時間がかかります。だから他の会社が真似しようと思ってもできないことです。

私は、国内だけではなく、中国でも、東南アジアでも、社員同士が一緒に頑張ろうと共感し合えるような関係を作っていきたいと思っています。

中国でこれからどのような社風の会社を作るのか、格闘中です。日本のそれとは全く同じではないかもしれませんが、共有する価値観がないと共感は生まれません。

何を残して、何を変えていくのか、今はまだ混沌としています。“まとも”をはずさず、新しい歴史を作っていきたいと思っています。

* * * *
株式会社インテージ
インテージグループ各社とともに、リサーチノウハウ、データ解析力、
システム化技術とこれらに基づく情報評価力をコア・コンピタンスとして、経営および
マーケティング上の意思決定に役立つ情報(intelligence)を提供。
国内マーケティングリサーチ最大手。
| Maki | D&I 人物インタビュー | 23:23 | comments(0) | trackbacks(0) |
NPO法人GEWEL
Top Interview インテージ(6) リーダーの現地化

現地の人が自立して、自分の頭で考え、リーダーとなること

 (株)インテージ 代表取締役会長 田下憲雄氏
1947年生まれ。岐阜県出身。一橋大学社会学部卒業後、1972年 (株)社会調査研究所
(現インテージ)入社。2000年に代表取締役社長。2011年4月代表取締役会長に就任。
一般社団法人日本マーケティング・リサーチ協会会長。
アジア・パシフィック・リサーチコミッティ会長。


Q:今後はどのようなことを目標とお考えですか

田下:私の目標は、それぞれの国に、現地の人達がリーダーとなって、自立した会社を作ることです。難しいことだとは思いますが、そのためにマネジメントの現地化を進めています。

リサーチはものづくりではありません。生活者が持っている言葉にならない価値観を理解して、それをきちんと顧客企業に伝えることができないとリサーチの価値は高くなりません。これはローカルの人材でなければ、できないことだと思います。

また、日本で成功したからといって、日本で考えて設計したサービスが、現地で受け入れられるかどうかわかりません。だから現地での課題を理解する力、ローカライズするチカラを育てないと良い仕事ができません。これがローカルインサイトです。

私は日本人が管理するのではなくて、現地の人が自立して、自分の頭で考えるようになることが重要だと考えています。現地化はたやすいことではありませんが、次のステージにインテージグループが成長するためには、何としても越えなければいけないハードルだと思っています。

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株式会社インテージ
インテージグループ各社とともに、リサーチノウハウ、データ解析力、
システム化技術とこれらに基づく情報評価力をコア・コンピタンスとして、経営および
マーケティング上の意思決定に役立つ情報(intelligence)を提供。
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| Maki | D&I 人物インタビュー | 10:43 | comments(0) | trackbacks(0) |
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トップインタビュー インテージ(5)グローバルリーダーとは?

困難な状況にあえてチャレンジする
グローバルリーダー

 (株)インテージ 代表取締役会長 田下憲雄氏
1947年生まれ。岐阜県出身。一橋大学社会学部卒業後、1972年 (株)社会調査研究所
(現インテージ)入社。2000年に代表取締役社長。2011年4月代表取締役会長に就任。
一般社団法人日本マーケティング・リサーチ協会会長。
アジア・パシフィック・リサーチコミッティ会長。



藤井:田下さんご自身がグローバルな場で活躍されている
リーダーだと思いますが、「グローバル人財、グローバルリーダー」とは
どのような人だとお考えですか?

田下:私が考えるグローバルリーダーとは、D&Iを実践し、
異なる文化を持つ国で新たな事業や新たな会社を作っていける人
です。
グローバルスタンダードを理解しつつ、ローカルインサイトへの感性や
理解力を持てること、さらには、現地の人材を育てることができる人だと
考えています。

自分の人生を振り返ると、私は誰もが上手くいかないだろうと思うような
困難な状況の方へあえてチャレンジしたがる性癖があります。今回は社長
交代というタイミングにも恵まれたので、会長になったあとも自分で手を
上げて、中国の現地法人の董事長に就任しました。中国に「棲みこむ」
覚悟で、中国事業を成功させるために闘っています。

若いときに海外駐在を経験しても、何年かすれば、「ただの人」になって
しまうので、グローバルを志す人は、海外で闘い続けるしかないですね。
私はもう60半ばに差しかかっていますので、最後のチャレンジだと思って
います。

* * * *
株式会社インテージ
インテージグループ各社とともに、リサーチノウハウ、データ解析力、
システム化技術とこれらに基づく情報評価力をコア・コンピタンスとして、経営および
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| Maki | D&I 人物インタビュー | 19:33 | comments(0) | trackbacks(0) |
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D&I Top インタビュー インテージ(4)

まず、インクルージョンが先
 (株)インテージ 代表取締役会長 田下憲雄氏
1947年生まれ。岐阜県出身。一橋大学社会学部卒業後、1972年 (株)社会調査研究所(現インテージ)入社。2000年に代表取締役社長。2011年4月代表取締役会長に就任。一般社団法人日本マーケティング・リサーチ協会会長。アジア・パシフィック・リサーチコミッティ会長。

 藤井:ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)をご自身が実践されるときに心がけておられることはどのようなことでしょうか。

田下:私は、インクルージョンが先だと思います。ダイバーシティとインクルージョンとでは、インクルージョンが先にこないといけないと思います。まず、共感すること、相手を受け入れることです。インクルージョンしない限り、お互いに相手との違いを理解することにはならないのではないでしょうか。お互いを受け入れて、共感できるものを見出すこと、これが最初です。

そのために大切なことは、相手と一体になることです。これを私たちは、このことを「棲みこみ(Dwell in)」と表現しています。よく「天才のひらめき」といいます。ひらめきは、何もしないで、ある日突然、どこかから、ふっとやってくるものではないのです。ずっと考えているから、そこに棲みこんでいるからひらめくのです。THE INTAGE WAYでは「グローバルに学びつつ、ローカルへの棲みこみによって、インサイトを探求し、事業の国際化を推進します」と表現しています。

社内では「お客様に棲みこむ」という言い方もします。それはお客様の戦略を理解し、お客様と同じ目線で考えることです。ビジネスパートナーとして期待してもらうためには、お客様に「棲みこむ」ことによって、お客様目線を獲得する必要があります。「業界に棲みこむ」、「仕事に棲みこむ」、「課題に棲みこむ」、「異なる文化に棲みこむ」、「地域に棲みこむ」など、まず対象と一心同体になることが重要です。

なにか違うなと思っても、根っこのところでは共感し合える何かがあるはずです。その繰り返しの中から、異文化を相対的に評価できるようになっていくと考えています。

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| Maki | D&I 人物インタビュー | 10:55 | comments(0) | trackbacks(0) |
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D&I Top Interview  (株)インテージ (3)

オリンパス事件にみるD&Iの重要性
 (株)インテージ 代表取締役会長 田下憲雄氏
1947年生まれ。岐阜県出身。一橋大学社会学部卒業後、1972年 (株)社会調査研究所(現インテージ)入社。2000年に代表取締役社長。2011年4月代表取締役会長に就任。一般社団法人日本マーケティング・リサーチ協会会長。アジア・パシフィック・リサーチコミッティ会長。

 藤井:オリンパス事件で、意思決定レベルにダイバーシティ(多様性)があることの重要性が示されました。報道によると、英国人の前社長は問題を指摘した 当初「日本的マネジメントスタイルと違う」といって排除されました。しかし、不正経理であることなど、コンプライアンス違反は、日本人の経営陣だけだとこの問題が発覚しなかった可能性があります。 トップが自らD&Iを率先するという意識が薄く、横並び意識でD&Iを実施している企業も多いのが現実です。

まず、文化、背景による価値観の違いを理解すること
田下:人が何に基づいて行動するのか、つまり規範が違うことに気づかされました。私の仮説は、オリンパスの英国人の前社長は、“神”との契約のもとで、個人の良心に従ったのではないでしょうか。日本人は“組織”に忠誠を誓っていますので、間違っていると思っても、組織の意思に従って行動してしまうことがあります。九州電力の「やらせメール事件」もそうですね。これが集団主義だといわれる所以でもあります。ここが大きな違いだと思います。ちなみに中国では、組織でも神でもなく、個人と個人の“関係”が規範になっていると思います。

香港大学のデイビッド・ツェ教授(国際マーケティング学部長)は、著書『グワンシ』で、個人と個人のグワンシ(関係)こそ、中国のビジネス文化を理解するキーワードだと説いています。一人ひとりの人間関係のネットワークがアメーバのように広がり、それに基いてビジネスが行なわれるのです。個人と個人の信頼関係は時として、公を越えてしまうことがあります。ですから「グワンシ」の負の側面は、「腐敗の温床」になってしまうことです。

日本は集団主義、欧米は個人主義と言われます。中国も個人主義的と言われますが、私は「関係主義」と呼ぶのが適切ではないかと思います。私もさまざまな場面に遭遇して、幾度となく「関係主義」とでも言うべき中国独特の規範を実感しています。

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| Maki | D&I 人物インタビュー | 17:38 | comments(0) | trackbacks(0) |
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D&I Top Interview  (株)インテージ (2)

株式会社インテージ 田下憲雄氏インタビュー
中国で直面しているD&I(Diversity & Inclusion)の葛藤

代表取締役会長 田下憲雄(たおり のりお)氏
1947年生まれ。岐阜県出身。一橋大学社会学部卒業後、1972年 (株)社会調査研究所(現インテージ)入社。2000年に代表取締役社長。2011年4月代表取締役会長に就任。一般社団法人日本マーケティング・リサーチ協会会長。アジア・パシフィック・リサーチコミッティ会長。

Q:中国では、会長自らが率先して陣頭指揮をとっておられると伺っていますが、中国の現状やD&Iから見てご苦労されている点とはどのようなことでしょうか。

田下:東南アジアは親日的なところがありますが、中国は少し違います。日本人の価値観とは相容れないところがあることを承知の上で付き合わないといけないと考えています。中国四千年の歴史といいますが、現代の中国は文化大革命を経て、価値観が変わってしまったように見えます。儒教的精神は希薄になり、今やマルクス、レーニンはもちろんのこと、毛沢東さえも、その片鱗を感じることができなくなっています。共産党政府は孔子の映画を作ったりして、必死になって道徳教育を始めています。

日本人と中国人の一番大きな違いは、個人の組織や公へのかかわり方です。日本では、会社の成長にどのような貢献をしたかで、報酬が決まると言えば納得します。中国では、会社は個人にどのような「発展空間」を用意してくれるのかということから、始まります。日系企業ですから、重要な権限をすべて日本人が掌握する会社を作ることも可能です。しかし、それでは中国人の能力を活用することができませんし、会社の中で自分自身の発展が見込めないとなると、すぐ辞めてしまいます。しかも日本から派遣された駐在員は5,6年すると帰国し、交替してしまいます。いつまでたっても現地の会社には知識やノウハウが蓄積されません。こういうことが中国に進出した日本の企業で起こっています。私はこの日系企業の限界を突破したいと考えました。

中国では「子どもを産むなら、インテージへ」
Q:11月5日付のエコノミストに「Land of the wasted talent日本人は女性をもっと活用すべきだ」という記事が掲載されました。御社の業務では、女性の感性や直観力などは重要なカギとなっていると思いますが、女性を活かす上で工夫や苦労されている点などはありますか。

田下:もともと調査業界は女性が多いと言われています。なかでも当社は女性が活躍している会社だと思います。国内の新卒採用は男女ほぼ同数ですし、中国やタイでは、女性社員の方が多い会社です。男だから女だからということは、全くありません。そうは言っても、女性は育児の責任を負うことが多く、定年まで働くことは難しいのがやはり現実です。なるべく長く働き続けられるようにとできるだけのことをやっています。

そのおかげで、今、中国の業界では「子どもを産むなら、インテージへ」と言われているようです。福利厚生の充実には費用がかかりますので、中国人のマネージャーは、「そういうことをしていない競合企業と同じようには戦えない」「そんなことをすると競争に勝てなくなる」となかなか理解を示してもらえません。

確かに、中国は結果の数字だけを追い求めているような過酷な競争社会です。当然、会社の体力を無視することはできません。しかし、私は「世の中の仕事は、ただ儲ければよいというものではなく、お客様のビジネス成功に貢献し、最終生活者を豊かにするという使命を全うすることが、社員の成長にも会社の利益にもつながる」という信念を曲げず、忍耐強く説いて回っています。
(つづく)
・  ・  ・  ・  ・
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| Maki | D&I 人物インタビュー | 12:12 | comments(0) | trackbacks(0) |
NPO法人GEWEL
コンフォートゾーン(快適域)から積極的に出て行きなさい 中富デボラ氏

コンフォートゾーン(快適域)から積極的に出てチャレンジしなさい
―GOLDシンポジウムパネリスト日系三世のデボラ中富さんを囲んで
杉田 典子(GEWEL理事、La Cle Global Services 代表取締役)

 GOLDシンポジウム「戦略実践時代のリーダーに求められる資質3S」の翌日の午後、パネリストとして来日されたデボラ中富氏を囲む機会に恵まれ、D&IリーダーシップについてGEWELメンバーらとざっくばらんに意見交換を行いました。

 デボラ中富氏は日系三世でロサンゼルス在住、ご自身の会社であるNakatomi & Associatesの代表として健康・教育・環境問題に焦点をあてた戦略コミュニケーションを手がける他、ガールスカウト米国連盟の取締役、WAGGGS(ワッグス=ガールガイド・ガールスカウト世界連盟)の国際委員、アジア太平洋諸島系アメリカ人健康フォーラム(APIAHF=Asian & Pacific Islander American Health Forum)やリトル東京サービスセンターコミュニティ開発公社のボードメンバーも兼任されています。以前はロサンゼルス女性財団の理事長でもありました。

 現在、Nakatomi Associatesでは東日本大震災のドキュメンタリーフィルムを米国に暮らす日系人たちに見てもらうために、撮影隊を東北に送り込んでいるとのことです。彼女の日本に寄せる想いの強さを感じました。また、同席したファイザー河崎さんが日本で企業向けの禁煙プログラムを展開していることを説明した時、ご自身もカリフォルニア州の禁煙プログラムの広報活動にもかかわっていると話され、彼女のメディアとしての社会的責任を果たす活動の一面を見たように感じました。

 米国でのダイバーシティ&インクルージョンの現状と課題については、まずヒスパニック系とアフリカ系アメリカ人を中心とする人種関連がトップで、アジア系アメリカ人はダイバーシティ問題に含まれてもいないという興味深い話がありました。次にくるのがジェンダー関連です。また、最近では性的多様性の集団を表現する頭文字“LGBT”に新たにQueer, Questioningを指すQを加えた”LGBTQ”という表現が広まってきている話も出ました。この表現の詳細についてはここでは割愛させて頂きますが、調べると出てきます(例:http://ja.wikipedia.org/wiki/LGBT)。日本ではD&Iというと“Gender Diversity”と思われている点で、大きな違いがあり、興味深く聞きました。

 起業家に関する話題では、米国政府が中富氏のような、女性で、かつアジア系マイノリティである起業家に対し、補助金を積極的に与えてビジネスをサポートしている制度があることや、その他中国系・韓国系起業家達が昔の「頼母子講(たのもしこう)」のようなシステムで互いのビジネスの助け合いをし、それが女性起業家にも広まってきていることを伺いました。私自身起業家として、資金調達と経営安定が難しいことを身をもって経験しているので、日本でもこのような起業家育成の仕組みが必要だと切に思います。

 「個人的にはどのようにダイバーシティを実行していますか?」という質問に対し、ご自身の生い立ちに話が及びました。日系三世の彼女は祖父母やご両親が渡米後米国での成功を目指す中、社会的弱者の立場で孤独であり、日々自信を揺るがされる状況下でありながら、いかに奮闘してきたかについて触れました。また、日米戦争中日本人は都会から遠く離れた場所に収容所が作られて、大変な思いをした経験から、日系人は米国に同化することを子供たちに教育するとともに、家庭では日本人としてのIdentity 、日系人としてのリーダーシップを持つことを大切なこととして教えられてきたそうです。
 彼女はご両親から「人と違うことをしなさい。そしてあなたのコンフォートゾーン(快適域)から積極的に出てチャレンジしなさい」と常に背中を押され続けてきました。そこから、大手企業をやめて起業家として新たな一歩を踏み出す自信が築かれていったのだろうと自分自身を振り返っていました。

“If you’re surrounded by strong women, you become stronger too.”(「強い女性と一緒にいると自分も強くなれる」)との言葉に全員で頷きました。私自身も互いに切磋琢磨しながら支え合える人間関係を周りに構築したいと思いました。
| Maki | D&I 人物インタビュー | 11:35 | comments(0) | trackbacks(0) |
NPO法人GEWEL
D&I Top Interview  (株)インテージ (1)

株式会社インテージ 田下憲雄氏インタビュー
「働いている人を幸せに」、世界に「まとも」を広めたい

代表取締役会長 田下憲雄(たおり のりお)氏
1947年生まれ。岐阜県出身。一橋大学社会学部卒業後、1972年 (株)社会調査研究所(現インテージ)入社。2000年に代表取締役社長。2011年4月代表取締役会長に就任。一般社団法人日本マーケティング・リサーチ協会会長。アジア・パシフィック・リサーチコミッティ会長。

  *  *  *  *  *
藤井:インテージでは時代に先駆けてオフィスでのフリーアドレスシステムやレスペーパー、アファンの森の支援、森の風景中継など、新たなワークスタイルや人と環境への配慮を打ち出しておられます。基本にあるものはどのような精神なのでしょうか。

田下:私がインテージ(旧社名 社会調査研究所)に入社したのは1972年です。当時の会社は、低賃金、長時間労働だけでなく、男女の給与格差や派閥の横行など、社員にとっては決して、働きやすい環境ではなかったと思います。当時の私は、生活のために稼がないといけないので「仕事は仕事」と割り切って就職し、一生懸命働いていました。しかし、入社2年後に新しくできた労働組合の委員長になったことによって、会社も私の人生も、大きく変わってしまいました。労働組合の存在を認めない経営陣と組合との大紛争は、創業社長の退陣という形で決着しました。つまり組合側の勝利に終わったのです。

この時、会社の規範は180度、転換しました。つまり会社の成長のために、社員を犠牲にしてもかまわないという価値観から、会社の成長と社員の成長を両立させるという考え方への転換です。昔風に言うと「労働者の生活と権利を守る」、今風に言えば「ワークライフバランス」「ディーセントワーク」の実現をめざす会社に変わったのです。

しかし、現実はそんなに甘くありません。それまでの過剰投資のつけが、莫大な累積欠損という形で明らかになり、すべての社員、経営者は倒産を心配しながら働くという苦しい期間が数年間、続きました。多くの人が会社を去りました。それを乗り越えて一部上場を果たすまでの道のりは、とても一口でいえるほどの簡単なものではありませんが、私自身は社員時代も、経営者になっても、会社の成長と個人の成長が一致するような会社にしたいという一心でやってきました。その間には不動産バブルやITバブルがありましたが、インテージはそういう時代の風潮には見向きもしないで、お客様の期待や課題にきちんと応えることを大切にして、ここまで成長してきました。
私は自分たちの専門性やパフォーマンスが収益の源泉だと考えています。
だから地道にサービスの価値を上げることを考えなさいと言い続けています。環境の変化に対応しながらも、その根本的な価値観はずっと変えない、そういう「まとも」な会社であり続けたいと思っています。

昨年(2010年)、インテージは創立50周年を迎え、「まとも」を世界に通用させたいと、「THE INTAGE WAY」を制定しました。基本となる価値観は「まともな企業であり続けること」です。
英語では
   Maintaining Our Values as a “Matomo” Company.
  “Matomo” means “Decent and Serious-minded”
と表現しました。英語だけでなく中国語やタイ語にも翻訳し、社員全員に“Matomo”という日本語を周知しています。
(続く)
  ・  ・  ・  ・  ・
株式会社インテージ
インテージグループ各社とともに、リサーチノウハウ、データ解析力、システム化技術とこれらに基づく情報評価力をコア・コンピタンスとして、経営およびマーケティング上の意思決定に役立つ情報(intelligence)を提供。国内マーケティングリサーチ最大手。
| Maki | D&I 人物インタビュー | 01:26 | comments(0) | trackbacks(0) |
NPO法人GEWEL
人に興味を持つことが”聴く”につながる

相手の話を聞く?聴く?分かっているようで分からない。どう違うのか。
By 小西ひとみ

相手の話を聞くこと(Hear)は、誰でもできています。しかし、相手の話を聴くこと(Listen)はどうでしょうか?
雑談なら「聞くこと」で十分ですが、友達の相談にのったり、取引先との商談や、悩みの相談を受ける時、そして親が子供と関わっていく時などは「聴くこと」になります。
では、一体何が違うのでしょうか。

まず私たちは、聞くことよりも話すことがもともと好きです。ですから前提は、“人間は聞くことよりも話すことを優先してしまう動物”だということです。

話を聞く・訊く目的は、もちろん雑談だけではありません。情報収集のために訊きます。または相手の話の中味を知るために聞きます。その中味に興味が湧かなければ自然に「心の耳」が閉じてしまいます。
その話に自分が興味を持てるとそれについて話を聞き、さらにもっと知りたければ自分の興味に焦点をあてた質問をして訊き、その話を注意深く聞いていきます。興味がなくなれば、自分の話をしていくでしょう。

または、上司・部下の仕事関係の場合は、上司は部下からの情報を集め、自分の知りたい情報を訊き、自分にとって必要な情報が集まると、相手の話が早く終わることをジリジリとしながら待って、自分の答えや意見を言って終わるといったパターンが多いのではないでしょうか。仕事上の問題解決は、こんなスタイルですね。

つまり相手の話の中に自分が聞きたいことがあると、人はちゃんと話を聞きます。聞きたいことがなければ、聞けないということです。

聴くことは、聞くとはまったく違います。人を理解するための聴き方です。
聴く・訊く目的は、話し手が自分自身の話したいことを語るために、自分の考えを述べるために、そして自分の心の中にある自分に気づくために、話し手が語れるように聴いていくことです。

相手の本意を知るためには、聞き手が聴く姿勢を持つことが大事です。
聴くことは、自分に興味がない話でも真剣に聞くことを意味します。じゃあ、どうするの?と思いますよね。一言でいうと、その人に興味を持つこと。どんなことがきっかけでそう感じているのか、どうしてそれが気になるのかなど、その人に興味を持つと聴く姿勢につながっていきますよ。試してみてください。
| Maki | D&I 人物インタビュー | 01:00 | comments(0) | trackbacks(0) |
NPO法人GEWEL
2.日本では、どのようにD&Iを進めるといいのか。

D&Iインタビュー 

NPO GOLD 代表理事の建部博子さん(ロサンゼルス在住)に、
「D&Iを日本で進めていくために」と題して、前回は、米国でD&Iが進んできた歴史と現在の状況をうかがいました。
今回は、「日本では、どのようにD&Iを進めるといいのか」について
なるほど!なご意見をいただきました。

Building Leadership Bridges Across the Pacific"と日米のリーダーシップの架け橋として、さまざまな活動を日米で実践されています。NPO法人GEWELの理事の一人でもあります。
プロフィール英語版はこちら→ 

2. 日本で、ダイバーシティ&インクルージョンをすすめるために。

日本でも、政府、公共機関、各企業が「ダイバーシティ推進」に取り組
んでいるようですが、「女性活用」が主となっているように見えます。

企業においての「ダイバーシティ&インクルージョン」とは、個々人の
能力、価値観の違いを活かすことによって、組織に活力とイノベーシ
ョンをもたらし、成果に繋がるという経営戦略のことです。
 
ダイバーシティマネジメントとして最も重要なことは、人材をリソースとしてとらえることです。
グローバル企業は、日本のみでなく、ビジネスを展開している世界各国
を見渡して、将来の市場、購買力、労働力の変化による影響、それに
適応できるスキル・能力を持つ人材確保が要求されます。
能力のある人を雇用し、継続して働いてもらう企業でなければ生き残れ
ません。

前回(1)でお話したハドソン・インスティテュートの例のように、
日本でも、人口問題研究所や民間のシンクタンクなどが発表する数字を
理解し、将来に対する予測を読み解くことによって、各企業のビジネス
戦略と整合性のあるダイバーシティ&インクルージョンの取り組みの
必然性を訴えなければいけないと思います。

そのためには、まず、経営者トップがダイバーシティ&インクルージョ
ンは「なぜ必要であるか」、そして、「経営戦略として何をするべきか」
を認識し、自ら企業風土を変革していくことにコミットすること
です。

次に重要なことは、実践するうえで目的、目標指標が明確であること。
そして、目標指標を達成できるシステム・プログラムを作ること
です。

例えば、女性の管理者を増やすのが目的であれば、能力を持っている
男女から人選ができるような人材教育制度を作るということです。
「女性だから」という理由だけでは、会社にとっても本人にとっても
ネガティブな結果となることが目に見えてます。

さらに、日本では、ソフトスキルが必要とされる人材教育、
クロスカルチャー・コミュニケーション、人事評価等に関する研修を
マネジメント登用の必須条件にするべき
だと思います。
アメリカでは、人事評価ウェイトの3分の1が人材教育とダイバーシ
ティ目標達成度という大企業もあります。

最後になりますが、日本が、日本の良さを残して、グローバル・ダイ
バーシティを実践するアジアのリーダーとなる日が早く来ることを願
っています。
| Maki | D&I 人物インタビュー | 09:54 | comments(0) | trackbacks(0) |
NPO法人GEWEL
D&Iを日本で進めていくために

D&Iインタビュー 

NPO GOLD 代表理事でBuilding Leadership Bridges Across the Pacific"と日米のリーダーシップの架け橋として、さまざまな活動を日米で実践されている建部博子さん(ロサンゼルス在住)に、D&Iを日本で進めていくために、まず米国でD&Iが進んできた歴史と現在の状況、日本での提案をうかがいました。
なお、NPO GEWELの理事のひとりでもあります。
プロフィール英語版は http://www.goldleaders.org/about_founder.html

1. 米国のダイバーシティ&インクルージョンについて

アメリカ企業におけるダイバーシティの歴史を振り返えると、3段階を経て現在に至っていると思います。

1)1964年に新公民権法が成立された後アファーマティブ・アクションから始まり、2)1980年代にコンプライアンスに応えるリスク回避から「個人個人の価値認識・創造」(Valuing Diversity)というプラス要因の考え方にシフトしました。3)そして、1990年代に「多様な人材を生かす戦略」Diversity Management)を経て、現在の「企業の利益と結びつけた経営変革」(Business Case)となり発展してきました。

1987年に発表された“労働力2000年白書”(ハドソン・インスティテュート)による労働力人口構成の変化予測結果が、教育機関を含め、各企業に大きな旋風を巻き起こし、将来へ向けての対策としてダイバーシティの取り組みに本腰をいれるようになったと言われています。このレポートは、2000年までの労働力への新規参入者は、女性, マイノリティ, 移民の占める割合が拡大し、白人男性はわずか15%になると予測しました。このトレンドは今でも続いています。

2008年8月に発表されたアメリカ商務省国勢調査部 (U.S. Census Bureau)報告によると全人口約3.1億人の1/3を占めているマイノリティは、2042年にはマジョリティと逆転し、2050年には54%までに達すると予測されています。私が住んでいるロサンゼルス郡では71%がマイノリティ(白人以外)とすでに現実となっています。

また先日のNew York Timesによると、アメリカで解雇されている人たちの82%は男性だと報じられています。この理由は、経済危機に直撃された製造業、建設業に従事している雇用者のほとんどが男性だからです。
女性の場合は、教育機関、ヘルスケアなど、比較的に不況の影響が少ない業界に従事しているケースが多いためです。
将来的には、労働人口の半数以上を占めていた男性が減少し、女性がマジョリティになる可能性もあるということです。

このように、益々グローバル化が進み、社会も組織も常に変化・進化し続けているなかで、アメリカにおけるダイバーシティの取り組みも岐路にさしかかっています。
21世紀に生き残るためには、今までのようにアメリカ発ではなくグローバルの視野からみたシステムを構築することが必須であり、「ビジネスケースとしてのダイバーシティ」を成功させるには、組織をリードする経営者のCultural Competence (文化能力)*が鍵となると言われています。


*Cultural competence refers to an ability to interact effectively with people of different cultures. Cultural competence comprises four components: (a) Awareness of one's own cultural worldview, (b) Attitude towards cultural differences, (c) Knowledge of different cultural practices and worldviews, and (d) cross-cultural skills. Developing cultural competence results in an ability to understand, communicate with, and effectively interact with people across cultures.
Reference: Mercedes Martin & Billy Vaughn (2007)


つづく
| Maki | D&I 人物インタビュー | 01:55 | comments(0) | trackbacks(0) |
NPO法人GEWEL
D&I1万人調査を終えて 調査チーム 堀井紀壬子さん

調査の分析を担当した堀井さん。
GEWELの代表理事でもあります。

D&I1万人調査を終えて、ほっと一息というところで、報告のハイライトを聞いてみました。

Q.予想を超えて驚いたのはどんなことでしたか。
A.まず驚いたのは、ダイバーシティ賛同・推進派が44%もいたこと。
ダイバーシティに取り組んでいる企業からの回答が多いとはいえ、こんなに多くの方が、ダイバーシティ推進の業績へのプラスを認識してくださっていることは感激でした。

Q.ダイバーシティに関して感じたことは?
A.「ダイバーシティ」に関して、「頭ではわかっている」という
実態が良くわかりました。

実際の行動にどのように反映させるのかをGEWELが提案できれば
よいなと思いますが、なかなか難しいですね。

Q.インクルージョンに関して感じたことは?
A.インクルージョンを日本語でどのように表現するのか、いままでのいくつかの調査の結果を受けて、試行錯誤でしたが、
「認められている」というと、「評価されている」に結びつく
のだなあ、もう少し、日常的なインクルージョンをあらわすことを、
どう伝えるのかが、課題だと思います。

 そして、若い人たちが「あまり認められない」と感じていることに
問題も感じます。世代間のギャップが広がっているような気がします。

Q.D&Iを進めるには、いま何が必要ですか?
A.わたしはD&Iの推進には経営トップの「強い意志が必要だ」と
いつも言っています。


 日本の企業でもトップの意思でD&Iを進めている企業が少しづつ
ですが、出てきています。
参考までに、2009年1月の日経ビジネスに下記の記事が出ています。

東芝の経営陣や人事部門の幹部は「グローバル人財」を定義する前に、
まず、東芝の社員一人ひとりに求められる資質を問い直した。
導き出した「東芝人」としてのベースは次の3つだ。
(1)相手の立場に立って物事を考える、
(2)常にイノベーションを考え、実践する、
(3)多様性を受容し、会社に対する価値観を共有する――。
これらの資質を満たさなければ、環境変化のスピードが激しく、
しかも多様な価値観が交錯する世界市場では生き残れないというのだ

このように考える経営者が多くなれば日本企業もD&Iの重要性を
認識するでしょう。ただし、短期的に業績を求めると危険です。
 人材育成や、風土改革は「一日でならず」です。 短期の業績回復と、
長期の風土改革の舵取りが、これからの日本企業に求められるでしょう。

Q.D&Iの概念が浸透していくとどんな社会が実現するのでしょうか。
A.一人ひとりが、自分の考え方や価値観を持ち、自分らしいやり方で、生きやすい社会作りに貢献する。
 グローバルな環境の中で、異なる価値観や背景を持った人を尊重しつつ、日本人としての自分を好きな若者がたくさんいる社会。


ありがとうございました。
| Maki | D&I 人物インタビュー | 22:40 | comments(0) | trackbacks(0) |
NPO法人GEWEL
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